機関投資家の運用方法とヘッジファンドを比較

ファンド投資

2018-7-8

個人で直接取引を行うのではなく、プロに資金を預けて運用してもらう形で投資を行う場合、機関投資家やヘッジファンドといった言葉を耳にすることになります。

 

この2つは似たようなものでありながら、運用に対する姿勢は大きく異なりますので、両者についてしっかりとした理解を持つことが、自分に合った投資方法を探す上でも大切です。

こちらでは機関投資家とヘッジファンドの意味、それぞれの運用方法の違いなどについて解説します。

1、機関投資家とヘッジファンドって一体どのようなもの?

 

金融商品取引法という法律上では、「適格機関投資家」に該当するものが機関投資家とされます。

金融界で機関投資家という言葉を使う際には、一般的には、複数の顧客から集めた資金をまとめて運用している会社のことを言います。

 

この、まとめて運用することを合同運用と言います。具体的な機関投資家の例として、銀行や生命保険会社、損害保険会社、証券会社や年金基金が挙げられます。法人という形をとって投資を行っている投資家とイメージすると、分かりやすいかもしれません。

ここで、「法人として投資を行っている投資家」が機関投資家であれば、そこにはヘッジファンドも含まれるのではないかという疑問が生じる人も居るのではないでしょうか?

 

その通りで、ヘッジファンドも機関投資家の中に含まれます。

しかし、ヘッジファンドと機関投資家とは、資金の運用に対する姿勢を始めとして他のいくつかの点で違いがあるため、言葉を区別して用いる場合が多いのです。

2、機関投資家とヘッジファンドの違い1~誰から資金を集めるのか~

 

機関投資家とヘッジファンドにおける最初の違いは、誰から資金を集めるのかという点にあります。

一般的に機関投資家は、普通の個人投資家も含めた広く多数の投資家から資金を募ります。つまり、誰でも参加出来るのが通常です。

この方法は公募と呼ばれます。

 

対してヘッジファンドは、ごく少数の特定の投資家から資金を集めることを目的としています。

富裕層や他の機関投資家などで、人数としては50人程度のことが多いようです。このような限られた形での資金集めを私募と言います。

3、機関投資家とヘッジファンドの違い2~基本的な運用姿勢~

 

機関投資家は「相対収益型」と呼ばれる形での運用を行っています。

これは、ベンチマークと呼ばれる指標を設けた上で、そのベンチマークに対して良い成績を出そうとすることです。ベンチマークとされるのは、日経平均株価などです。

 

相対収益型の運用では、例えば、相場が値上がり基調にあり日経平均株価が10%上昇した時には、それを上回る15%上昇を目指します。

そして、相場が値下がり傾向にあり日経平均株価が15%下がった時には、下落を10%にとどめようと動きます。

これが達成出来れば運用成績としては優秀ということになります。

主に運用の対象とするのは国内の株や債権、外国の株や債権、不動産などです。

 

また、テクニカル分析などを駆使して短期的な利益を求めるというよりは、中長期的な目線で企業の動向や成長を分析し、運用を行っていくというのが基本的なスタンスです。

そのため、成長が見込めるけれど今現在は価値が高くない企業の株や、売られすぎてしまって本来の価値よりも低くなっている株に投資することもあります。

 

対してヘッジファンドは、「絶対収益型」での運用です。

これはどのような相場状況でも、必ず収益を上げることを目指す姿勢です。

そのため、ヘッジファンドのファンドマネージャーは、金融工学などの様々なテクニックを駆使して相場予測を行います。

また、ありとあらゆる金融商品を組み合わせて運用し、収益を上げるために努力します。先物やオプションなど、かなりハイリスク・ハイリターンな取引を行うことが多いのも絶対収益型の姿勢の表れです。

4、機関投資家とヘッジファンドの違い3~個人投資家にとっては具体的に何が異なる?~

 

では、個人投資家が機関投資家とヘッジファンドの2つに資金を出すと仮定した場合、具体的にどのような点で違いが出てくるのでしょうか?

1つ目の違いとしては、そもそも投資に参加出来るかどうかが異なります。

証券会社など、機関投資家が資金を集めるための代表的な方法に投資信託がありますが、その投資信託には基本的には誰でも参加が可能です。

投資金額も通常は1万円前後からと、かなり参加しやすい金額です。

 

一方で、ヘッジファンドに投資することは、一般的な投資家では難しいのが通常です。

ヘッジファンドがターゲットとしているのは富裕層や他の機関投資家で、投資金額も数千万円規模になるためです。

しかし近年では、投資の一部をヘッジファンドに対して行うという、ヘッジファンド型投資信託というものが出ていますので、こちらを通してであれば、一般的な個人投資家であっても投資が可能です。

 

2つ目は、個人投資家が判断する余地・必要性の違いです。

どちらもプロが資金を預かって運用を行いますから、資金を出せば全てお任せ出来るかというと、そうはいかない場合もあります。

投資信託の場合には、大まかな相場判断は個人投資家が行う必要があります。

投資対象となっている資産間の保有割合なども個人投資家の判断に委ねられています。

ヘッジファンドの場合には、資金を出せば完全に運用を任せることが出来ます。

 

ヘッジファンドは絶対収益型なので、ファンドマネージャーはとにかく収益を上げるために、自己の判断でポートフォリオを変更したり、新たな金融商品を追加したりします。

個人投資家が相場を予測する必要はありません。

逆に言うとヘッジファンドで利益を出せるかどうかは、完全にファンドマネージャーの手腕次第ということにもなります。

 

3つ目の違いは、ヘッジファンドの場合には資金の流動性が低いという点です。

一般的にヘッジファンドに投資しようとすると解約期間が限定されていることが多く、半年後だったり、場合によって1年後のこともあります。

 

また、投資信託と比べるとヘッジファンドは、運用内容などを情報開示することが少ないようです。

この、流動性の低さと情報開示の少なさについては、ヘッジファンドに対する留意点として、覚えておくと良いでしょう。

5、機関投資家もヘッジファンドに投資している、その理由とは?

 

ヘッジファンドが資金を募る先として、富裕層の他に機関投資家も重要な顧客となります。

機関投資家の基本的運用姿勢は中長期的視点での相対収益であるはずなのに、逆の姿勢を持つヘッジファンドに投資しているのは何故なのでしょうか?

 

その理由は、世界的な金融危機の相次ぐ発生にあります。

リーマン・ショックに始まり、ギリシャ危機・ユーロ危機、英国のEU離脱危機など、近年では比較的短いスパンで金融危機が発生する傾向にあります。

いくら相対収益を目指す機関投資家であったとしても、あらゆる金融資産が暴落する金融危機の際には、ベンチマークを上回る成績を出すことは非常に困難です。

 

また、今後も金融危機が繰り返される可能性というのは当然あり得る事態です。そのため、リスクヘッジの一環として絶対収益型のヘッジファンドに投資を行っているのです。

また、ヘッジファンドには非常に優秀な人材が集まってくることも知られています。

世界トップクラスのファンドマネージャーともなると、年収は何と3000億円を超えるとも言われており、これは日本で言うと、最大手のコンビニチェーン店の1年間の営業利益と同程度にもなるのです。

このような優秀な人材に資金運用を任せたいと思うのは、ある種当然とも言えます。

6、機関投資家とヘッジファンとの比較!根本的な違いはその運用姿勢

 

ヘッジファンドと機関投資家にはいくつか異なる点がありますが、根本的に異なるのはその運用姿勢で、ヘッジファンドが絶対収益型で、投資対象を限定せずに収益を上げることを目指すのに対し、機関投資家は相対収益型でベンチマークを指標とした運用を行います。

 

また、機関投資家への投資は投資信託などの形で誰でも参加が可能で、金額も1万円前後からと取り組みやすいですが、ヘッジファンドへ一般的な個人投資家が投資を行うことは出来ません。

しかし、近年ではヘッジファンド型投資信託というものが出てきていますので、それを通してであればヘッジファンドへの投資も可能です。

investor X 編集部

将来を豊かに過ごすために、自己資金の資産運用が必ず必要になります。
そこで、今有望な投資先として注目のヘッジファンドやアクティビストファンドについてもわかりやすく、みなさんの疑問にお答えしていきます。
あなたにピッタリの投資方法探しのお手伝いができましたら幸いです。

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