ヘッジファンドの起源と現在の投資家の動向を探る

ファンド投資

2018-9-11

投資に興味を持っている人であれば、本や雑誌などで「ヘッジファンド」という単語を一度は目にしたことがあるかと思います。

しかし、その明確な定義や詳細について詳しく説明できる人はあまり多くありません。

「リスクの高い投資を行う会社」「莫大な資金を動かす得体の知れない組織」という、なにやら怪しげなイメージで語られることすら少なくありません。

 

確かに、ヘッジファンドは顧客を富裕層に絞っていたため、ほとんどの人にとってなじみのないものでした。

しかし、ヘッジファンドはマーケットに対して非常に大きい影響力を持っています。

本格的に投資をおこなっていくのであれば、ヘッジファンドに関する知識の整理は欠かせません。

この記事では、ヘッジファンドとはどういうものなのかについて解説していきます。

 

1、そもそもヘッジファンドとは何か

 

機関投資家のひとつである「ヘッジファンド」は、非常に大きな資金をハイリスク・ハイリターンの手法で運用することが特徴です。

資金量は個人投資家からは想像できないほどの規模で、数億円単位の運用が日常的に行われています。

数兆円単位に及ぶことすら珍しくありません。

「ファンド」の名前の通り、投資家などから資金を募って、株や債券などに投資することで利益を追求し、リターンは投資家に分配します。

この点では一般によく知られる投資信託などとあまり変わりがありませんが、大きく違うのがその手法です。

 

一般的なファンドでは、株や債券などでポートフォリオを組み安全な運用を目指しますが、ヘッジファンドは先物や為替、ハイリスクな金融派生商品(デリバティブ)にも積極的に投資を行います。

さらに、ロング(買い)ポジションだけでなくショート(売り)ポジションを多用することもヘッジファンドの特徴です。

 

そのため、上昇相場だけでなく、下降相場や暴落時にさえ利益をあげ続けることができるのです。ロングでもショートでも収益を確保できるため、ヘッジファンドの収益は「絶対的リターン」と呼ばれます。

 

こういった積極的な投資手法が可能になるのは、ヘッジファンドが「私募形式」によって資金を集めるからです。

私募形式であれば一般の金融機関のような監督官庁への詳細な届出が不要になり、投資手法や投資対象を自由に選ぶことが可能になります。

 

2、ヘッジファンドの起源とは

 

ヘッジファンドの「ヘッジ」は、「リスクヘッジ」という単語でよく知られているように「回避する」という意味です。

ヘッジファンドはハイリスク・ハリターンが特徴であるにもかかわらず、ほとんど逆の意味の名前がついているのには理由があります。

 

富裕層の資産をインフレなどから守ることを依頼された投資の専門家がヘッジファンドのルーツです。

戦争で為替が不安定だったり、国に資産を取り上げられるリスクを「回避」することが彼らのミッションでした。

ヘッジファンドは、富裕層の資産を運用し、防衛していくという高い志の元で誕生したのです。

 

現代のヘッジファンドの形を決定付けたのは、A.W.ジョーンズです。

株式の買いだけでなく、空売りによる「ヘッジ」を積極的に組み合わせたファンドを作り、これが現在のヘッジファンドの歴史の始まりといわれています。

 

株式同士だけでなく、株式と債券などさまざまな組み合わせも行っています。

A.Wジョーンズのヘッジファンド開始は1949年ですが、1960年代になるとこのロングショート戦略は世界中に広まり、ヘッジファンドの数は200を超えるまでになっています。

3、ヘッジファンドの発展

 

現代的なヘッジファンドを完成させたのは「イングランド銀行を潰した男」として有名なジョージ・ソロスです。

ジム・ロジャーズと共に「クォンタム・ファンド(Quantum Fund)」を立ち上げ、ロング・ショートポジションによって驚異的なパフォーマンスを叩き出しました。

1992年にはイギリス政府の為替介入に真正面から対抗して英ポンド(GBP)を売り浴びせ、一夜で約1000億円もの利益を手にしています。

 

一方で、最高峰の知性集団でありながらあっさりと破綻したヘッジファンドも存在します。

ソロモン・ブラザーズのジョン・メリウェザーが中心となって立ち上げた「LTCM」は、「ドリームチーム」と呼ばれるメンバーを揃えていました。

特にノーベル経済学賞受賞者のマイロン・ショールズやロバートマートンなどが有名です。

金融工学や統計学を駆使した手法によって開始当初は好調だったものの、アジア通貨危機とロシア財政危機という現実の前になすすべもなく敗れ去りました。この出来事は後の投資家にも多くの教訓を残しています。

4、現代のヘッジファンド

 

現代では、「ヘッジファンド界の帝王」レイ・ダリオが創業者兼共同最高投資責任者を務める「ブリッジウォーター・アソシエイツ(Bridgewater Associates)」が最大規模のヘッジファンドです。

運用総額は16兆円を超え、政府や中央銀行、年金基金や財団などが主なクライアントです。

投資手法はグローバル・マクロ投資がメインとなっています。年率平均リターンは10%を超え、2010年には+44.8%という脅威的なリターンを叩き出しています。

 

「AQRキャピタル・マネジメント(AQR Capital Management)」はブリッジウォーター・アソシエイツに次ぐ規模のヘッジファンドで、7兆円を超える資金を運用しています。

投資手法は数量的分析に基づくことが特徴です。株式や債券などへのオーソドックスな投資とオルタナティブ投資の双方を行うことも強みです。

5、現代の投資家の動向は

 

最近ではヘッジファンドの顧客層に広がりが出てきています。

世界の富裕層だけでなく、年金基金や大学までもヘッジファンドを利用しており、一般的な認知度が非常に高くなってきています。

投資に対してはあまり積極的ではない日本にもこういった動きは波及しており、一部の富裕層はヘッジファンドへの投資を始めています。

 

また、ヘッジファンドもファンドの門戸をひろげつつあり、顧客層の拡大に努めています。これまでは最低でも億単位の資金を用意するのが常識でしたが、個人でも手の届くような価格帯の商品を用意しています。

最低投資額はおおよそ1000万円程度で、一般的な個人投資家や会社員でも利用することが可能な価格帯に設定されています。

 

以前のヘッジファンドは情報がクローズであることが常識で、アクセスすることすら難しい状況でしたが、現在では各社ともホームページで積極的に商品の案内に努めています。

日本国内のヘッジファンドも増えてきており、ヘッジファンドを利用しやすい環境が急速に整備されつつあります。

いくつかのヘッジファンドは、ホームページから問い合わせや資料請求も可能です。先見的な個人投資家は、かなり以前から国内のヘッジファンドを注目しています。

 

6、個人こそヘッジファンドを利用しよう

 

このように、ヘッジファンドは長い歴史を経て徐々に一般の投資家にも門戸を開いてきています。

海外では既に年金などの公的資金がヘッジファンドの手によって運用され、個人の生活を支える役割さえ果たしています。

日本でも富裕層を中心にヘッジファンドの利用者が増え、最近では一般の個人投資家でもがんばれば手の届く範囲にまで価格帯が広がってきています。

 

もし資金的に余裕があるのであれば、ヘッジファンドへの投資を検討してみることをおすすめします。

資金的に無理だという場合でも、ヘッジファンドの動きを研究することはとても大切です。

個人投資家がヘッジファンドの莫大な資金量に立ち向かうことは不可能ですが、その状況を逆手に取ってヘッジファンドの動きに追従すれば良いのです。

どちらの場合にせよ、個人投資家こそヘッジファンドを利用することが投資を成功させる近道です。

 

investor X 編集部

将来を豊かに過ごすために、自己資金の資産運用が必ず必要になります。
そこで、今有望な投資先として注目のヘッジファンドやアクティビストファンドについてもわかりやすく、みなさんの疑問にお答えしていきます。
あなたにピッタリの投資方法探しのお手伝いができましたら幸いです。

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