タックスヘイブンとは?何故ヘッジファンドはタックスヘイブンを利用するのか?

ファンド投資

2018-9-18

2016年にパナマ文書が公開され、タックス・ヘイブンを利用して税金を逃れていた企業の存在が明るみに出て大きな話題となりました。

この事件をきっかけとして、タックス・ヘイブンという言葉には悪いイメージが付きまとうようになりました。

 

しかし、そもそもタックス・ヘイブンとは何を意味しているのでしょうか。

また、多くのヘッジファンドがタックス・ヘイブンを利用しているのは何故なのでしょうか。

今回は、タックス・ヘイブンの意味や各国の法人税事情、ヘッジファンドがタックス・ヘイブンを利用する理由などについて解説します。

タックス・ヘイブンの正確な意味や、そのヘッジファンドにとってのメリットを理解し、投資先を選ぶときの参考にしてください。

 

1、タックス・ヘイブンってなに?

 

タックス・ヘイブンという言葉は直訳で「税金の避難所」を意味しており、租税回避地などとも呼ばれています。

日本におけるタックス・ヘイブンの定義は「法人税率が20%未満又は完全に免除された国又は地域」です。

後進国や資源のない国などが法人税を撤廃する、あるいは税率を下げることで外国の企業を国内に誘致しようとする、いわば苦肉の策ともいえる政策でしょう。

 

税率が低いということは、籍を置いている企業がいくら利益を上げていてもその国に還元される割合は小さいということになります。

すなわち、タックス・ヘイブンとして企業を誘致した国が税金によって豊かになる可能性はほとんどないということです。

その代わり、大きな企業が籍を置くことで新たな雇用が生まれ、失業率などが改善する可能性があります。

また、その企業で働く人たちからの需要も新たに生まれるので、経済が活性化する効果が期待できるのです。

2、各国の法人税事情について

 

タックス・ヘイブンは本来、主に後進国が行ってきた政策でした。

しかし、先進国から後進国への大企業の移転が進むにつれ、先進国側も危機感を覚えるようになります。

その結果、後進国にならって法人税率を引き下げる先進国が現れ始めました。

ヨーロッパではすでにオランダやイギリスなどがタックス・ヘイブンとなっています。

 

また、法人税が高い国として有名だったアメリカにおいても、2017年の12月に法人税を35%から20%に引き下げる法案が可決されました。

この税率引き下げを受けて、後進国に拠点を移していた多くのアメリカのグローバル企業が戻ってくる可能性が指摘されています。

 

同様に、フランスでも2018年時点で33.33%の実効税率を徐々に引き下げ、2022年までには25%を目指すという方針が発表されました。

日本の法人税率についても、アベノミクス政策によって段階的に引き下げられています。2013年度には37%だった実効税率が2016年度には29.97%に引き下げられ、さらに最大で20%前後まで引き下げることが検討されているのです。

 

こうした日本の法人税率引き下げの背景には、アメリカやフランス、イギリスなどの先進国がこぞって法人税率を引き下げているという世界的なトレンドがあるのでしょう。

また、大企業が日本から流出するリスクを回避するためにも必要な政策だといえます。

実際問題として、イギリスの海外領土であるケイマン諸島には2014年末の時点で日本企業が63兆円もの投資を行っていることが指摘されています。

 

この数字はアメリカの149兆円に次ぐもので、法人税の高い先進国からいかに企業が流出してしまっているかをうかがうことができるでしょう。

ケイマン諸島は税金のかからない地域として知られており、同じく法人税率0%のドバイにも世界中から多くの企業が拠点を移しています。その他、アジアでは香港やシンガポールなどがタックス・ヘイブンとして有名です。

3、タックス・ヘイブンが問題視される理由とは?

 

あらゆるビジネスは、実際に事業を行っている国の人たちに利用されたり、その国の社会基盤や経済基盤を利用したりすることで成り立っています。

しかし、タックス・ヘイブンにペーパーカンパニーを置いている企業は事業を行っている国に利益をあまり還元していません。つまり、その国の基盤を利用して利益を上げているにもかかわらず、国や国民に対してほとんど貢献していないということになります。

 

また、他の国内企業はきっちりと納めている税金を一部の企業だけが納めていないという状況は、社会全体に不満を起こさせるでしょう。

その結果として、今まで税金を納めていた企業までが次々と国外に流出していくという悪循環につながる恐れがあるのです。

これらがタックスヘイブンが問題視されている主な理由となります。

 

ただし、日本では企業の海外流出を防ぐための法整備も進んできています。

たとえば、タックス・ヘイブンにあるペーパーカンパニーに企業の利益を集中させても、その子会社や日本の支店などが日本の法人税率に基づく税金を支払うことになっているのです。

アベノミクス政策によって法人税も引き下げられつつあるので、日本企業の海外流出は少しずつ減っていくことが予想されます。

4、ヘッジファンドがタックス・ヘイブンに拠点を移すメリット

 

多くの著名なヘッジファンドはタックス・ヘイブンに拠点を置いています。

その理由は、法人税率が下がることで資金の運用利回りがよくなるためです。分かりにくいと思うので具体的に説明しましょう。

たとえば、1000万円を資金として運用を始め、毎年20%の利益を上げるヘッジファンドがあったとします。

この企業がタックス・ヘイブンに拠点を置いて20年間運用を行い、最後の年に税率30%で元の国に税金を納めた場合、手元に残る資金は4700万円程度になります。

 

一方、元の国で毎年35%の税金を納めながら運用を行う場合、20年後の資金は3500万円程度です。

すなわち、タックス・ヘイブンを利用するかしないかで運用利回りには1200万円程度の差が出てくるということになります。

当然のことですが、最初の資金が多ければ多いほどこの差は大きくなっていくでしょう。

タックス・ヘイブンと元の国の運用利回りの差は、複利効果の違いによるものです。

複利効果とは、運用によって得た利益を投資することで、さらに大きな利益が生まれるという効果のことです。

 

元の国にとどまって運用する場合、利益を上げてもそのうち35%は法人税として毎年引かれていきます。

すなわち、その年に得た利益のうち65%しか翌年の運用には回せないということになります。

タックス・ヘイブンの法人税率が10%だとすると、利益の90%を翌年の運用に回すことができるでしょう。

この25%の差が、長い年月の経過を経て大きな利回りの差を生み出すというわけです。

5、タックス・ヘイブンを利用するヘッジファンドへの投資で利益を上げよう!

 

パナマ文書が公開されたことで多くの企業の資金隠しの実態が明らかになり、タックス・ヘイブンの名前とともにメディアで大きく取り上げられました。

そのため、タックス・ヘイブンに悪いイメージを持っている人も多いでしょう。

しかし、ヘッジファンドがタックス・ヘイブンを利用するのは悪いことではありません。

まず、いかに莫大な利益を上げても捕まってしまっては元も子もありません、そのため、ヘッジファンドは日本やタックス・ヘイブンの法律をしっかりと守って運用を行っています。

 

また、投資活動は実際に出店するような形態とは異なり、世界中どこにいても行うことができます。

ヘッジファンドは世界経済を基盤として利益を上げているということになるでしょう。

つまり、日本の企業だからといって日本から恩恵を受けているとは一概にいえないはずです。

 

さらに、ヘッジファンドはタックス・ヘイブンを利用することで高い運用利回りを実現させ、最終的には日本により多くの税金を納めています。

このように、ヘッジファンドがタックス・ヘイブンを利用することには多くのメリットがあります。

タックス・ヘイブンに拠点を置く、運用利回りの高いヘッジファンドに投資することで、顧客側も大きな利益を受け取れる可能性が高くなるのです。

 

investor X 編集部

将来を豊かに過ごすために、自己資金の資産運用が必ず必要になります。
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