ヘッジファンドはなぜ絶対利益を出すことができるのか?リスクヘッジを知ろう

ファンド投資

2018-7-29

ヘッジファンドというのは簡単に言うと、「複数の顧客から資金を集めた上で、それをまとめて投資・運用を行う会社」のことです。
その投資姿勢は、市場がどのような状況の時であっても必ず利益を上げることを目指す、「絶対収益型」です。

では、ヘッジファンドの「絶対収益型」とはどのようなものなのでしょうか?
また、絶対に利益を上げるためにヘッジファンドが行っているのは、具体的にどのようなことなのでしょうか?詳しく解説します。

1、ヘッジファンドの「絶対収益型」投資姿勢とそこから生まれる様々な特徴

 

絶対収益型」というのは、例え市場全体が値下がり傾向にある時であってもプラスの収益を目指すことです。
「それは当然の事では?」と思われるかもしれませんが、そうでもありません。

 

分かりやすい例として機関投資家の投資スタンスと比べてみると、機関投資家はベンチマークとされる株価指数のような指標を基準として、それよりも良い成績を出すことを目指します。

これは「相対収益型」と言われます。相対収益型では、例えば平均株価が15%上昇であれば、それよりも上の17%や20%を目指します。
15%下落した時には、下げ率を何とかそれより少ない10%程度に収めようとします。
「下がることは下がったけれど、市場全体よりは下落率を抑えられた」という状態が、運用成績として合格とされます。

 

ヘッジファンドは必ず利益を上げることを目指しますから、金融工学などあらゆる分析テクニックを駆使し、先物取引やオプション取引など、ハイリスクハイリターンの商品も積極的に取引します。
ヘッジファンドはもともと、富裕層や機関投資家が主な資金提供元です。
一般的な個人は対象ではありません。

 

そのこととも相まって、運用内容や運用手法にかなりの自由度が認められています。
一旦資金を預ければ、全てがファンドマネージャーの手腕に委ねられ、どのような取引をしているか、投資家に開示されることも少ないのが一般的です。

 

このような点において、内容や手法に規制が設けられている投資信託とは対照的です。
投資信託は機関投資家が扱う代表的商品ですが、その資金の募集方法は、広く多数の投資家から募集する公募であり、一般的な個人投資家が主な対象です。
そういった事情もあり、あまりハイリスクな取引とならないように、個人投資家を一定程度保護するような内容となっているのです。

2、ヘッジファンドのリスクヘッジとは?

 

ヘッジファンドが利益を出すために、必ず行っていることがあります。
それがリスクヘッジです。
リスクには様々な種類のものがありますが、株式投資の場合には大きく分けて2種類のリスクがあります。

 

それが個別の企業におけるリスクと、市場全体におけるリスクです。
個別企業のリスクとは、個々の企業の経営悪化や倒産、突然起こった不祥事などです。
市場全体におけるリスクは、リーマン・ショックなど市場全体の株価が暴落する、いわゆる金融危機です。
これらのリスクを回避するために、ヘッジファンドは基本的に2つのリスクヘッジ方法を用います。

 

1つ目が分散投資です。
1社の企業だけに投資していては、その会社が倒産した時に大打撃を被ります。様々な企業に分散投資して、個別企業のリスクを回避します。

 

2つ目は、先物取引やオプション取引の積極的な活用です。
これらの取引を行うことは、金融危機などで市場全体が値下がりした時にも、その影響を回避出来る可能性を高めます。

3、ヘッジファンドの投資戦略1~相場志向型~

 

ここからは、ヘッジファンドがリスクヘッジをしながらも、絶対収益を目指すためにとっている数々の戦略を、より具体的にご紹介していきます。
最初は相場志向型に分類される戦略です。

 

1つ目の戦略は、「株式ロング・ショート戦略」です。
株式ロングは株を購入して保有することで、ショートは空売りすることです。
ロングの場合は値上がりすれば利益となります。
ショートの空売りとは、市場から株式を借りてきて売り、一定期間後に買い戻すことですが、高値で売って安値で買い戻せれば利益となります。
これらを同時に、同業界・同業種の銘柄で組み合わせて行うことで、ヘッジ効果を高めることが出来ます。

 

2つ目は、「グローバル・マクロ」です。
世界中の国や地域などの政治状況や経済の状況を分析して、金利などを予測しながらグローバルに投資を行う手法です。

 

3つ目は、「マネージド・フューチャー」です。金融工学や統計学を駆使して様々な金融商品の値動きを解析し、相場が上下どちらに動いても収益を出せるように分散投資を行う手法です。

4、ヘッジファンドの投資戦略2~裁定取引型~

ここからは、裁定取引型の投資戦略です。

 

1つ目は、「マーケット・ニュートラル戦略」です。
日本語で裁定取引と言います。
本来であればもっと価格が高いはず、あるいは安いはずであるなど、一時的に本来の価格からかけ離れているものについて、割高のものを売り、割安のものを購入して利ざやを得ようとします。

 

2つ目は、「フィックスト・インカム」です。

債券などの金利系の資産に特化したもので、利幅が乖離していて割高になっているものを売り、割安のものを買うことで利ざやを得ます。

 

3つ目は、「レラティブ・バリュー」です。

株式や債券、通貨などの商品の売りと買いを組み合わせて、その価格差で収益を上げようとします。
「市場は合理的であり、価格はいずれ正常に戻る」という考えを基本とした手法で、価格乖離自体に注目しているマーケット・ニュートラル戦略とは、その点で異なります。

5、ヘッジファンドの投資戦略3~運用特化型~

ここからは、運用特化型の投資戦略です。

 

1つ目は、「ディストレス」です。

経営難に陥った企業の株式や債券などを買い集めて、その後に経営再建などが成功して価格が回復した時に、売って利ざやを得る方法です。

 

2つ目は、「イベントドリブン」です。

企業の合併や買収、業績の下方修正など、何か株価に影響するようなイベントが起きる時に行われます。
このようなイベントの影響が市場価格に反映されるまでには、通常はタイムラグが発生します。その間を狙って、価格反映後に収益を上げることを目指します。

 

3つ目は、「マルチストラテジー」です。

投資戦略を出来る限り増やすことでリスクヘッジを図る手法です。
1つの会社で行うことの出来る投資戦略は限られてきますから、通常はファンドオブファンズと言って、投資会社に投資する形で行われることが多いようです。

6、ヘッジファンドの投資戦略4~アクティビスト~

 

この戦略はイベントドリブンの一種かもしれませんが、「モノ言う」株主として動くことで、企業や企業の株価に影響を与えようとする戦略のことをアクティビストと言います。

 

株価が上がった状態で売却したいという目的がある場合、例えば企業の株主総会で経営改革案を提案するなど、個人投資家の注目を集めるような発言を行います。その効果で株価を押し上げようとするのです。

 

しかし、この手法はあまり一般的ではありません。ヘッジファンドは通常、顧客との守秘義務などの関係や、長期的な視点での競争に勝つために、手法や考えがあまり表に出ないように振る舞うからです。

7、ヘッジファンドの「絶対収益」術はリスクヘッジにあり!

 

ヘッジファンドは、市場がどのような値動きになっても必ず利益を出すことを目指す「絶対収益型」が、運用姿勢の基本です。
運用を支える具体的な投資戦略には、株式ロング・ショート戦略やマネージド・フューチャー戦略、グローバル・マクロ戦略、イベントドリブン戦略などがあります。

 

根本的には、1つの銘柄に集中せずに分散投資を行うことや、値動きを予測しつつ売りと買い双方を行うなど、リスクヘッジを行うということが、その「絶対収益」術の肝です。

 

しかし、あくまでヘッジファンドが行うことは投資である以上、「絶対収益」というのは目安に過ぎません。
投資であるという意識を忘れずに運用実績などを注意深く見ることが、投資家がヘッジファンドを選ぶ上で大切な事です。

investor X 編集部

将来を豊かに過ごすために、自己資金の資産運用が必ず必要になります。
そこで、今有望な投資先として注目のヘッジファンドやアクティビストファンドについてもわかりやすく、みなさんの疑問にお答えしていきます。
あなたにピッタリの投資方法探しのお手伝いができましたら幸いです。

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